あなたはどうやって、自分がオススメしたい程の筆記具を選んでいるでしょうか?
文房具店で気に入ったデザインから、適当な一本を選択しているのでしょうか。それともプレゼントされた筆記具や記念品を大切に使っているのでしょうか。
逆に鉛筆、ボールペン、万年筆から自分に似合っていそうな分野を選択し、インクからボールペンを選んでいる人がいるかもしれません。
実は昔は、ある意味でインクからボールペンを選ぶ人が多かったです。(ジェットストリームも存在しませんでしたし)
今回はインク(替芯や互換芯)という視点から、高級筆記具でオススメとなるボールペン本体への道を辿ってみることにします。
独自規格の替芯
筆記具メーカーによっては、独自規格の油性ボールペン替芯を製造しているところがあります。代表的な例は、モンブラン、クロス、カランダッシュの3社です。
理由はともかくとして、この3社のボールペンは使いやすくて快適です。おすすめの筆記具となるほどボールペン本体も使いやすく、互換芯を製造するメーカーが何社も存在します。
どんな感じであるか、簡単に説明してみましょう。
(1)モンブラン
モンブランの油性ボールペンの替芯は、ジャイアントリフィルとも呼ばれています。多くのメーカーが採用しているパーカー互換芯よりも数mmくらい長いため、モンブランの筆記具にしか装着できません。
まあ装着できないと言っても、どんな替芯(リフィル)であるかをチェックすることは可能です。下記画像のように、替芯の回りに紙を巻いて、即席ボールペンを作成してしまうのです。
実は替芯はボールペンの本体軸によって、印象が変わってしまいます。ただしそうはいっても、基本的な性能を試す程度ならば十分です。
ちなみにモンブラン純正芯のジャイアントリフィル(画像の一番上と下)は、「素晴らしい」の一言に尽きます。私のように鉛筆や万年筆に慣れて、筆記角度が浅めになりがちな者でも書くことができます。もちろん “インク溜まり(ダマ)” が生じるようなことはありません。
おまけに弱い筆圧でも十分に書けるのですが、筆圧をかけるとシッカリとした文字を書くことができます。私の場合、メモも署名もモンブランだけで済ませていた時期がある程です。
おまけに最近では日本国内でも2本セットが販売されるようになりました。1本よりも少しだけお手頃な価格になっており、嬉しい限りです。
私は過去に互換芯として水性インクなども試しましたが、署名をすることのある勝負ペンには、純正芯かカランダッシュのゴリアット芯のいずれかを装着しています。
ちなみにモンブラン向けに替芯アダプターを販売する業者も存在し、4c芯のジェットストリームやSARASA/HITEC-Cを使うことも可能です。こういう状況なので、従来のようにボールペン本体だけで優劣を比較するのは、意味をなさなくなりつつあります。
(1)クロス
クロスの純正芯は、一昔前の事務用ボールペンのような形状です。いや、事務用ボールペンがクロスを真似したと言えるかもしれません。細長い芯で、国内で知られているのは三菱鉛筆SK-8程度です。
海外だといろいろな種類が存在しますが、満足できる品質の替芯に出会ったことがありません。面倒なので、もう探すことは止めてしまいました。(で、今回は純正芯の話なので触れませんけど、ジェットストリームを装着してしまった訳でして…)
それはともかく、クロスの純正芯も書き心地が良いです。モンブランと同じように、筆圧の弱い私でもキチンとした字を書けます。筆圧に応じて文字のクッキリさも変わってくるので、細文字(F)でも快適に利用できます。
(そうはいっても非常時の署名用にカバンの中に常備しているので、タウンゼントに装着されているのは中字(M)ですけど)
なおクロスの場合、20年くらい前はインク溜まりが生じて使い物になりませんでした。ちなみにこれは私が万年筆のように浅い角度で書く習慣が身に付いているためで、当時のクロスでは対応しきれませんでした。そこでモンブランへ移行した訳ですが、現在のクロスではインク溜まりが生じなくなっています。
クロスにしても地道にインクやボール部分の品質改良をしているようで、嬉しい限りです。そういえば私は重量36gを誇るアポジー軸も保有していますが、それにも純正芯の中字(M)を装着しています。
(3)カランダッシュ
カランダッシュは、1本で8km書けるゴリアット芯(Goliath芯)が有名です。そしてこれを収納する本体軸として、エクリドールが有名です。鉛筆のように六角形の金属軸で、小さい割には30gもあります。
この重さのおかげなのか、はたまたゴリアット芯のご利益なのか、カランダッシュのボールペンも書き味悪くありません。それからゴリアット芯の特長としては、油性ボールペンらしくない書き心地でしょうか。なんとなく、鉛筆に近いようなサラサラ感を感じます。
もちろんゴリアット芯にしても、私の万年筆的な書き方に問題なく対応できます。FやMもあるし、カラーバリエーションも豊富です。
なおカランダッシュの場合には、同じく六角形の849シリーズが販売されています。お手頃価格なので、紙製の芯で試すよりも、こちらで試した方が良いかもしれません。
ちなみにカランダッシュでも替芯アダプターが販売されています。もう5年以上は販売継続しているので、ゴリアット芯を使わない人も多いです。
私も手作り替芯のジェットストリーム(0.5mm)を試してみたことがありますが、外出先でモレスキンのポケット版ノートに書き込む時には感動しました。それくらい、書き心地が良かったです。
パーカー互換芯
さて紹介することが恐ろしく難しいのが、パーカー互換芯です。
なにせ私が知っているだけでも、30種類以上のパーカー互換芯が販売されています。展示会へ行っても、パーカー互換芯のボールペンが無償配布される程です。
そこで今回は、印象に残っているものだけを紹介させて頂くことにします。
(1)S.T.デュポンのイージーフロー
デフィ芯とも呼ばれることのある、S.T.デュポンのイージーフロー替芯です。名前からお察しが付くように、低粘度インクのボールペンです。
同じ低粘度インクのジェットストリームのように、”ヌラヌラ” と書くことができます。相違点は、こちらはボール径が1.0mmであり、書き始めの時点ではインクフローが豊潤を超えることでしょうか。
万年筆のようにスラスラ書けて気持ち良いのですけど、10年前のモレスキン手帳では裏抜けするので困りました。1冊以上使ったら、ようやくインクフローが安定して来ました。
今では、「黒くてクッキリした文字」の替芯として重宝しています。ファーバーカステルのイントゥイションで長時間酷使に耐えることが出来る点も、大いに評価できます。
ただし私たちにはジェットストリームがあるので、日本では徐々に見かける機会が減っているような気がします。
(2)三菱鉛筆ジェットストリーム
お馴染みのジェットストリームです。もはやこの替芯に関しては、何も説明することは無いでしょう。
残念ながらモンブランやカランダッシュと異なり、ブラック(黒)インクしか存在しないことが残念です。ただし0.38mm、0.5mm、0.7mmと太さは充実しており、事務用には貴重な戦力となります。
まとめ
今回はおすすめの高級筆記具に関して、替芯や互換芯を紹介してみました。
なお正統的な使い方だとパターンが限られますが、実は替芯を加工することによってモンブランでカランダッシュを使うようなことも可能です。
(ご存知にように、最近の私は水性インクを油性ボールペンの本体軸に装着したりしています)
今では無数に存在するともいえるバリエーションが提供されている訳で、どれを選ぶかという贅沢な悩みに直面することになります。
ただし私たちの目的は筆記具で気分転換したり仕事することで、手に取ってこそ価値を発揮します。
コレクターとなって収集癖を発揮するのは、ほどほどに留めるのが良いでしょう。(と、自分宛メモ)
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:四葉静