今ならば「忘却のサチコ」こと高畑充希のボールペンと言った方が良いかもしれません。
今から10年くらい前に、菅野美穂がドラマ「曲げられない女」で使っていたボールペンとも言えます。
しかし私にとってはガッキーが10年くらい前に初主演した「全開ガール」で使っていたボールペンと言いたいです。
ちょっと私向けのストーリーではありませんでしたけど、やっぱり前向きな主人公が使っているボールペンというイメージが嬉しいです。
(まあそういう意味では、高畑充希もこのオレンジ軸を前向きに使っていたとは言えなくもないかも)
さて今回はガッキーが初主演ドラマ “全開ガール” で使っていた、アウロラのイプシロンという人気ボールペンの紹介です。
ちなみに人気の秘密はTVドラマで有名というよりも、「最もお手頃価格にして実用的であるといえる本格的な高級ボールペン」にあると評価しています。
それでは早速、評価内容を語らせて頂くことにしましょう。
イプシロンの誕生した時代
アウロラのイプシロンが登場したのは1990年代で、経済成長期と呼ばれていた頃です。
しかし筆記具業界に関していうと、パソコンやワープロが登場して、筆記具の必要性が大きく低下しました。
だって1990年代以前は、書類は全て手書きだったのです。1990年代に入ると、文章作成専用の機械(ワープロ:ワードプロセッサ)が急速に普及して行きました。
そして少し遅れて、パソコンでもワープロ用ソフトウェアが登場しました。会社での資料作成に、もう筆記具は必要無くなりました。そして学生は鉛筆だし、会社で個人が取るメモの量なんて大したことありません。
そしてドイツ製のモンブランやファーバーカステルは東西ドイツ統一で大変な状況となってしまったり、世界経済は混乱しました。そして各社はいろんな施策を打ち出して来ました。
クロスはクラシックセンチュリーに加えて、タウンゼントという太軸ボールペンを開発しました。そしてアウロラは、タレンタムやイプシロンを製品化しました。(1994年に74周年記念モデルも販売しましたっけ)
ちなみにタレンタムはガッキーがリーガルハイで使っていたボールペンですけど、クロスのタウンゼントのように “ビジネスの場に相応しい雰囲気” を持っています。
そしてアウロラの製品紹介ページでは、”イタリアの最新ファッションを取り入れたモデル” とだけ紹介されています。(このアッサリとした感じが、いかにもタレンタムらしくて良いです)
その一方、イプシロンは下記のように紹介されています。
“初めてペンを使う方や、若い世代のかたにも、アウロラの書きやすさを知っていただこうと開発したペンが「Y(イプシロン)」シリーズです。クリップが「Y」の形をしているのが特徴です。ボールペンは、キャップノック式。”
クリップだけでなく、本体も面白い形をしています。冒頭画像だと分かりにくいですけど、万年筆のような形をしています。

これをポケットに刺していると、万年筆と勘違いする人も出て来そうな感じです。そして太くなったキャップ後端が、同じアウロラのスタイルには及ばないものの、ボールペンとしての持ちやすさ(筆記角度)を引き出してくれます。
そして現在もTVドラマ「忘却のサチコ」で高畑充希が使っているように、若手ビジネスパーソンに人気を誇っているのが、このアウロラのイプシロンなのです。
ドラマで使われた頃
さてガッキーが新垣結衣として初主演した “全開ガールは” 2011年に放映されました。実はその1年前の2010年にも、TVドラマでイプシロンは大活躍しています。
それが菅野美穂主演の「曲げられない女」です。ちなみに彼女が使用していたのは、スタッフさんのブログによると、「イプシロン サテンブルー B30-Bという型番です」とのことです。
(注)ただし私のイプシロンもキャップ(シルバー)側がサテン仕上げになっていますが、これはサラサラなマット仕上げと同じです。手元側がサテン仕上げだと、滑って握りにくいです。憧れでサテンブルーを購入するのは、控えた方が良いかもしれません。(サテンブルーでなく、普通のブルーの方が無難でしょう)
「曲げられない女」をご覧になった方はご存知のように、菅野美穂は司法試験合格を目指して頑張っている女性です。法律事務所での勤務もします。そして「全開ガール」のガッキーは弁護士です。
司法試験や法曹界というと万年筆を連想しますが、イプシロンは「万年筆っぽいボールペン」です。この点を不思議に感じた方もいるかもしれません。
実は答えを言ってしまうと、彼女たちがアウロラのイプシロンを使った2010年頃は、バブルが崩壊した後の時期でした。そしてS.T.デュポンがディ芯向けに、イージーフローという低粘度インクが登場した時期です。
これは従来の油性ボールペンとは完全に異なった “ヌメヌメ感” を特長しており、万年筆のように筆圧をかけずに書くことが出来るのです。
幸いアウロラのイプシロンはパーカー互換芯であり、このイージーフローを使うことが可能です。だから「万年筆っぽいボールペン」であって「大いに結構!」という状況だったのです。
弁護士というとお金持ちというイメージがありますけど、弁護士になるまでにはアルバイトの余裕なんかもないし、ガッキーも貧乏だというドラマ設定になっています。
そして弁護士でない菅野美穂など、母親は亡くなるし、それはもう大変な状況でした。そう考えると、彼女たちが「この一本」としてアウロラのイプシロンを選択したのも納得できます。
ちなみに日本メーカーでは、顔料インクを採用した水性インク(ゲルインク)を製品化していました。これを海外筆記具メーカーのローラーボールペンに装着できる場合が多いのですが、そんなこと思いついて広める人間は存在しませんでした。
ちなみに私は2007年頃にモンブランのジェネレーションへ、ZEBURAのSARASAジェルインク(ゲルインク)替芯を装着して使っていました。実はそれらの経験がキッカケで、このサイトを運営しているようなものです。


上記の記事からお分かりにように、その気になればアウロラのイプシロンのノック式ボールペン軸であっても、シグノ307を装着することは可能なのです。(ただし「替芯の必要箇所を、頑張って削り取る作業をすれば」ですけど)
驚くべき実用性
さてアウロラのイプシロンですけど、驚くべきほどの実用性があります。
まず第一に、どこからどう見ても立派な高級ボールペンである上に、パーカー互換芯(G2芯)を利用可能です。だから先に説明したように、いろいろな替芯を使えます。
たとえば先のイージーフローだけでなく、ジェットストリームだとブラックならばパーカー互換芯タイプも存在します。イージーフローにしても、ブルー(青色)を利用できます。
おまけに替芯アダプターを使えば、下記記事の4c芯で紹介しているようなジェットストリームや国産の水性インクも利用可能です。
(別に大袈裟にアダプター購入しなくても、即席替芯を自作するという方法も使えます)

イプシロンはボールペン軸として優秀で、お値段はパーカー互換芯タイプなのにお手頃価格なモデルが提供されています。そして替芯も殆ど自由に選択できるのだから、「驚くべきほどの実用性」と言っても差し支えないでしょう。
そしてツイスト式でなくて、ノック式のボールペンです。ポケットから急いで取り出してメモを取るような場合にも困りません。
もちろん練習すれば、片手でも自由自在にツイスト式を扱えます。でもそこまでやる人は滅多にいないでしょう。
(「扱える」と言い切ったのは、私が実際にそのように使っているからです。白状します。ハイ)
なぜやる気が湧くのか
さてこのボールペンを持っていると、私の場合には「やる気」が湧いてきます。
TVドラマとはいえ、思い出の詰まったボールペンです。私は基本的に怠け者なので、やる気を全く出せないことがあります。そしてリーガルハイの堺雅人ではありませんが、地道な努力も苦手です。
ただし逆に怠け者なので、ボールペンを持つといろいろな空想に逃げ込もうとします。そしてボールペンを使っていた主人公や、なぜか堺雅人にも連想が及び、手を動かす気持ちになって来るのです。
ほんの少しの前向きな気力で十分なのに、私にはそれさえ無いのですかね。しかしだからこそ、ボールペンが少し後押ししてくれるだけで、やる気や冷静さを引っ張り出すことが出来るのです。
ちなみにこれは、別にドラマに限った話ではありません。
実は私、30年間使い続けられたモンブランのマイスターシュテュックを譲られています。それを使えば、幾らでもやる気を引き出せるのです。
もうボロボロでガタガタですけど、だからこそ自分に必要と思える「やる気」や「冷静さ」を引き出すことが出来るのです。
これを失くしたら自分を失くすようなものなので、最近は恐くてなかなか自宅から持ち出すことが出来ません。そこで代わりに、最近はTVドラマを利用させて頂いているのです。
(我ながら、お手軽な性格ですね。ホント)
まとめ
実際に使ってみて良く分かりましたけど、アウロラのイプシロンは本当に面白いボールペンです。
「最もお手頃価格にして実用的であるといえる本格的な高級ボールペン」として人気が高いのも納得できます。
ただし残念ながら、0.28mmのジェットストリームエッジを装着するには、ほんの少しだけ替芯プラスチックの先端を削る必要があります。
それから私が出席する会議では、会議室のマイクが高性能過ぎるために「できるだけキーボードを叩いたりノックしないで下さい」と指示されるようなこともあります。
そんな訳で通勤時や自宅ではイプシロンを楽しめますけど、本格的に使えるのはアウロラのタレンタムになります。
まあタレンタムだと堺雅人の賑やかな雰囲気が伴うので、それも悪くないですけど。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:四葉静